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2019年6月26日 (水)

中国情勢は深刻化している

ーー以下「宮崎正弘ブログ書評」より抜粋編集

上田篤盛『武器になる情報分析力』(並木書房)

著者は防衛庁で諜報intelligenceつまり情報分析を担当して十五年、情報戦争解析の第一人者として知られる。

諜報の専門家が本書でその「分析技法」を公開する。

上田氏いわく、intelligenceとは未来を予測することである。

「未来予測とは、不確実性の低減である」と。

これこそが本書の要点である。

ーー

「公開された情報から95%の情報は得られる」と目からうろこの基本原則を説かれる。

これは諜報(intelligence)というのが分析力に依存するものであることを示している。

それは機密情報などではないのである。

ーー

諜報の大半は公開情報から得られる。

つまり、分析力の有無が未来予測の正確さを決定するということになる。

そこでどうすれば正しく分析することができるのか知りたくなる。

ーー

そこで著者は言う。

「『一寸先は闇』という諺が象徴するように、AIやコンピュータなどの科学技術がいかに進歩しても適格に未来を予測することは困難(だ)」

「未来予測とは未来を言い当てること、すなわち確実性を保証することだという考えを排除(することが肝要である)」

ーー

「北朝鮮は間違いなく核実験する」とか「トランプの再選はない」などとテレビでコメントする「評論家」がいるが、そうした『未来予測』のたぐい、これらはじつは「インテリジェンスではありません」。

「(それは)明快な論理と回答を好む視聴者と、自信と強さをアピールして視聴者を引きつけたい評論家の双方が「ウィンウィン」の関係を持って奏でる演出(なのだ)」

この箇所を読んで、なるほどそれで、テレビ解説者らはいつも予測をはずしながらテレビに出続けるのかと納得した。

ーー

それならば、諜報intelligence(未来予測)とはいったい何か。

「目的は、顧客(カスタマー)の不確実性を低減することに他なりません」

これが肯綮(こうけい、急所)である。

ーー

本書ではこの鉄則に立っての思考実験(シミュレーション)が試みられる。

その一例が中国の台湾侵攻の可能性とその分析である。

台湾侵攻が想定される場合、いかなる筋書き(シナリオ)が考え得るのか。

この場合、武力統一について、A「受動的」か、B「能動的か」二系統に別ける。

ーー

A[受動的]の場合、

(1)台湾が独立宣言をした場合、

(a)民進党政権の伸張と台湾住民の独立意識が高まったとき。

(2)中国で国内動乱がおきた場合、

(a)少数民族の叛乱、民主化デモがおこり(イ)経済停滞(ロ)経済格差が生じ、この内部矛盾をさっとすり替えるべく中国は台湾侵攻に打って出る蓋然性が高くなる。

ーー

独立宣言を巧妙に回避してきた台湾政治家も、このことは重々承知している。

が、このたびは香港の二百万デモがついに中国が背後で扇動した法案を撤回させ行政長官が辞任を表明するという、おそらく習近平がまったく望まなかった方向にある。

だからこそ、中国情勢は深刻化している。

ーー

B「能動的」の場合、

(1)中国の軍事的優越がおこり、中国人民解放軍の近代化がすすむ一方で台湾軍の近代化が停滞する場合、

(2)米国のアジア関与が低減した場合には(イ)米国経済の停滞(ロ)米軍の多方面展開不能となり、戦争に近付く。

という予測ができる。

ーー

この台湾武力侵攻についての分析については、受動的、能動的のいずれもが現実になりつつある。

つまり台湾危機は目の前にあると。

お見事というほかない、情報をどうとらえ分析するのか知りたい人には必読の書で有ろう。

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コメント

>縦椅子様 本日も更新有難うございます。
>>インテリジェンスとは
 著者の経歴を知って「出版社も、偉い人に目を付けたなぁ」と思いました、この人って、昔で言えば国家の諜報機関の情報解析のエキスパートで、国際情勢から日本の国内に至る迄、様々な深度の情報に接して、其れを分析して来たのですから、他以外の事象について、深い知見を持って居るでしょうね、で無ければ、最適解には」辿り着けませんからね。

 上田さんは、台湾問題を取り上げましたが、時節柄、中東のイラン情勢の裏側についても分析が欲しい処ですね、というか、私は余りに、イランの現状に関する事についての知見が無く、この先の展開が予想不可能だからです。

 私は投機の仕事をやっている訳でも、政治評論家でも無いので、この先の展開を読みたい理由と言うのが、出し難いのですが、簡単に言えば「下らない」と思われるかもしれませんが、「安心したいから」でしょうね。 

 市井の私如きが、細かい世界情勢の裏表を知って予想を建てた処で、何が変わるわけでもありません、却って、悩みが一つ増えて煩わしいかもしれない、でも、ネットが有るので、一つのテーマについて、持論を組み立てて、討論するのは、頭のトレーニングにはなりますね。

 使わないので忘れて居た、色んな知識領域のシナプスに電気を通じて、活性化して、更には、新しい知見を領域に追加する事も出来る。 それに、こうした「遊び」を脳のトレーニングにして居る間は「自分は大丈夫だ」と言う確信もある。

 上田さん曰く、「インテリジェンスと言うのは、特別な秘密情報を扱う事では無く、公開されている情報の個々を分析し、総合した知見として、未来予測をする事に有るが、其処で重要なのは、(多分)余分な情報の切り捨てであろうと思います。

 その切り捨て方こそが、経験で培われた客観性と周辺知識の深度に拠るモノなのだろうと思います。

 私の得意分野は、今は歴史ですが、固より畑違いの仕事にに着いた事もあって、ずーっと、様々な分野の勉強の連続であった事で、色んな分野の知識をそれ程深くはないですが、事象を理解できる程度は持って居ます。

 とはいえ、現場管理の仕事の現役を引退して、はや5年、設備の進化・更新で、最早使えなくなった知識もあれば、忘れて終った知識もあるけれど、時折、そうした知見が役に立つ処が有るから、世の中は面白い。

 世の中の事象が、繰り返されるのは、人類が過ちを糺せていないからなのかもしれないし、次段階に進む為には、モゥ一度、其処を通らねばならないカラかもしれません。然し、ダカラこそ、人類はこの先も成長して行けると思います

 斯うした人間社会の営みが、何れどの様な結論を出すのだろうか? と、人生の半分以上を確実に過ぎた私は、遺された命数を、愚かにも数えて居ますww まぁ直系の子孫も居ない事ですし、後は、お呼びがかかるまでの話ですがね。

 私が体験したイノベーションの影響は、主に被害が中心wwですから、技術革新と聴くと興味を、そそられる反面、「今度は、一体何が、切り捨てに遭うのかな」と言う警戒心も湧いて来るのは、是も、インテリジェンスに対する反応として派正しいのでしょう。ww

 この先、AI化が時代の最先端になって行くように思いますし、このインテリジェンス方面も、AI化して行くのでしょうが、出て来た情報を客観的に評価するのは、人間です。

 ダカラ、AI化しても、一方でAIを客観的に評価できるだけの、知見や見識を身に着けておかないと、AIの意見を参考意見の一つと言う状況に出来ずに、人類は、AIに、その生死さえも委ねる事に成っても、気が着けない程に、蒙昧に成るやもしれませんね。

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