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2018年12月 5日 (水)

台湾民進党はなぜこれほど大敗してしまったのか  

ーー以下「宮崎正弘ブログ(文明史家)黄文雄コラム」より抜粋編集

台湾の統一地方選挙、いわゆる「九合一選挙」が11月24日(土)に行われた。

(直轄市長、直轄市議員、省轄縣市長、県市議員、郷鎮市長、郷鎮市民代表、村里長、山地原住民区長及び平地原住民区民代表の9つの選挙)

ーー

結果は民進党の大敗となり、蔡英文総統も民進党主席を辞任した。

行政院長と陳菊秘書長(元高雄市長)も、蔡総統に辞意を表明したが慰留された。

結果、政治勢力地図は大きく塗り替えられた。

市長クラスだけを見ても、ブルー(国民党)15席、グリーン(民進党)6席。

計22の県市の中で、民進党は桃園、台南の2都市および基隆市、屏東市、新竹市、嘉義県の4つの県市以外はすべての県市を失った。  

ーー

国民党は、高雄市、台中市、新北市の3大都市のほか、計15の県市を獲得した。

台北市は元市長の柯文哲と国民党候補である丁守中の2人が競り、僅差で柯文哲氏が当選。

しかし物言いがつき、法的に認められるものかどうかの審議の最中だ。

ーー

では政権党の民進党が、なぜこれほど大敗してしまったのか。

ーー

関係者や政治評論家たちはその理由を100以上も上げている。

主な理由としては、蔡英文政権の諸改革に対する不満だ。

さらに、投票日に10項目もの「公民投票」を行ったこと。

これで投票に時間がかかった。

有権者は2時間以上も行列しなければならなかった。

ーー

この待ち時間に民進党への不満が高まり、有権者が民進党にノーを突き付ける結果となった。

ーー

中国からの様々な妨害が予想されており、実際にいろいろとあった。

例えば、10項目に及ぶ住民投票については、以下のような報道があった。

ーー

2017年に住民投票に関する法律が改正され、25%以上の投票率で賛成が過半数を超えれば成立することになった。

10件も脳住民投票が乱立することになったのも、法改正で住民投票実施に必要な署名数が有権者の5%(約94万人)から1.5%(約28万人)に大幅に緩和されたためだ。

野党の国民党や社会団体など、蔡政権に不満のあるグループがここぞとばかりに署名集めを展開した。

署名に関しては、複数の提出案件で亡くなった人の名前が約1万人も含まれていたことが発覚し、投票業務を管轄する中央選挙委員会が刑事告訴を検討する騒ぎもあった。

ーー

また、ネットでの情報操作についての報道もあった。

ーー

今回の選挙では、台湾のフェイスブックや台湾で人気がある掲示板(PTT)に対して、中国のネット部隊「網軍」から台湾世論を誘導する書き込みが多数行われた。

このほかにもいろいろとあった。

選挙期間以前からの中国のいやがらせも多数あった。

ーー

中国人観光客の台湾渡航禁止によって、台湾の観光業者を窮地に追いやったり、台湾と国交のある小国に資金援助を申し出て、台湾と断交させたりした。

蔡英文政権誕生後から中国は、台湾に対してずっとあからさまないやがらせを繰り広げてきたのだ。

こうしたことも影響したに違いないが、もっと大きな要因は、台湾の民意と蔡英文政権とのすれ違いだったと思う。

ーー

私は、蔡英文が総統になったときから、次のように言ってきた。

「蔡英文には多くを期待してはいけない、なぜなら、台湾は中台関係もあり、急激に変わることができないからだ」

「蔡英文は台湾を変える改革の芽を生んでくれればそれでいい」と。

ーー

そして、彼女はわずか2年間で、物事を慎重に運びながらも、労基法の改正や年金改革に着手した。

蔡英文の行く手には習近平が立ちはだかっている。

彼女のやることが裏目に出るよう仕組まれる危険性も想定した上での数々の英断だった。

ーー

そしてこの2年間の展開は、私が予測していた通りになった。

蔡英文が慎重な態度を取れば、決断できない総統とのレッテルが張られた。

年金制度改革では激しいデモが繰り広げられ、蔡英文の支持率は下がる一方となったのだ。

ーー

その裏には、「天然独」といわれる若者層の存在があった。

彼らにとっては、今の民主的で自由な台湾社会は、生まれたときからあって当然のものであった。

彼らはそれ以外の社会を知らない。

そんな彼らにとって、蔡英文が今ある制度をわざわざひっくり返して反発を招いているのは滑稽に見えたはずだ。

中国はこうした「天然独」層の存在を味方につけて、台湾を引き寄せようとしている。

ーー

台湾人の若者の中国留学や就職を優遇したり、台湾企業の中国進出を優遇したりという懐柔政策をとっている。

蔡英文は四面楚歌となった。

2年前に民進党が大躍進した背景には、ひまわり革命や中国に媚びへつらう馬英九への不満があった。

それも時間とともに台湾人の中から忘れ去られ、代わりに蓄積したのは蔡英文の経済政策や内政への不満だった。  

ーー

小泉純一郎元首相は、「時には痛みの伴う改革が必要だ」とよく口にした。

それは台湾にとっても必要だ。

それが労基法の改正であり、年金制度改革だった。

ーー

「天然独」層は、白色テロ時代を経験していない。

話には聞いて、知識としては知っているかもしれない。

しかし、経験していないので実感出来ないでいる。

ーー

台湾の著名な歴史研究家・王育徳の令嬢・王明理の、今回の選挙に対する言葉は以下のようなものだ。

非常に心を打たれる。

ーー

今、台湾人が享受している平和で自由な空気は、天から降ってきたものではない。

先人が多大な犠牲の上に手に入れたものだ。

かつての国民党の一党独裁体制から民主化に生まれ変わるために、台湾人がどれだけ努力し、忍耐し、尽力したか。

李登輝さんという稀有な人材が副総統から総統になるという奇跡が無ければ、有り得ない革命だった。

台湾人は世界史にも燦然と輝く無血革命を成し遂げた民族であったはずだった。

未だ正式な独立国家とはなっていない。

が、苦悶の歴史からやっと脱却しつつある過程で、まさか自ら後退を選び苦しい過去へ逆走し始めるとは思わなかった。

ーー引用ここまで

台湾の暗黒の時代を知っている我々だからこそ、今ある台湾社会を護りたいと強く願う。

そしてそれができるのは少なくとも中国の代弁者である国民党ではない。

2年後の総統選挙に向けて、習近平は高雄市長や新北市場など、国民党候補が当選した地域に対して直接的および間接的に接触してくるだろう。

そして、民進党政権を揺るがせるような地盤づくりに励むはずだ。

ーー

民進党は200万票を失う結果となった。

この選挙には過去にない特色がある。

2大政党以外のミニ政党が多く進出してきたのだ。

有権者の意識にも変化があったように思う。

ーー

これまでの政治意識としては、国民党と民進党の2大政党の対立があった。

今回ミニ政党が多かったことで政党への支持傾向は弱くなり、個人を支持する傾向が見られたのだ。

ーー

さらに、「買票」(選挙買収)ができなくなり、「生活」に大きな関心が置かれるようになった。

それが、「改革」に拒否反応を示す傾向となって表れた。

世代交代が進み、高雄市長となった韓國瑜に代表される新しい世代が政治家として台頭してきた。

これらが今回の地方選挙の特色といえよう。

ーー

再度言うと、今回の選挙に関しては、民進党大敗、国民党大勝という見方は間違いだと思う。

ーー  

中国が、ロシアのアメリカ大統領選のマネをして、各国の選挙にフェイクニュースを流し、選挙の行方を左右しようとしていたことはよく知られている。

台湾の公安関係者も、それについての具体的な証拠を数多く得ている。

ーー

では、中国が流したフェイクニュースが選挙の行方にどれほど影響したのか。

これについては、「限定的」という一言に尽きる。

というのも、中華文化の伝統風土としては、嘘つきやほら吹きは欠かせない要素の一つで、誰もが知っているからだ。

「中国ではすべてが嘘、本物はペテン師だけ」という言い方があるほどなのだ。

ーー

中国でフェイクニュースが多用されるのは近年に始まったことではないということになる。

フェイクニュースは「烏龍(ウーロン)消息」と言われ、国民党統治下の70年の間、台湾メディアの信頼性は1%程度だったのだ。

「疑心暗鬼」「人間不信」は、中国の国民性にもなっている。

今さら中国がフェイクニュースを流したところで、台湾人は慣れているし、事前に注意勧告もさんざんあった。

これが、私が、中国が流したフェイクニュースの効果は限定的と言った理由だ。

ーー

ソ連はかつてバルト3国を呑み込み、ロシアもクリミアを手に入れた。

中国もチベット、ウイグル、南モンゴルまでを「大中華民族」とした。

しかし、それらはいずれも小国か民主的な制度を持った経験がなかった地域だ。  

ーー

確かに、台湾の教育やマスメディアは、かつて中華文化一色に塗りつぶされたことがあった。

が、島という独自の存在として中国からのいかなる攻略にも、いかなる恫喝にも微動だにしなかった。

これが、この一世紀以来の台湾の歴史なのだ。

ーー

今回、民進党候補者だけでなく国民党候補者も台湾語による演説をしていた。

それらを聞いていて感じたのは、候補者たちが中国人というよりも台湾人と認知しているということだった。

ブルー陣営もグリーン陣営も、台湾人としては、色の違いの壁を超えていたのだ。

私が、中国の戦略は限定的という分析をしたのもそのためだった。

ーー

民進党が大敗したことについて、中国による介入がしきりに伝えられた。

しかし、中国はいまだに、選挙制度や民意を問う制度を破壊できないでいるのだ。

2年後に控える国政選挙(総統と立法委員の選挙)について、国民党と中国政府が手を組んで介入してくると言われている。

ーー

日本の地方首長も、無党派が主流となってきている。

党派をもって国政選挙を読むのは難しい時代になってきているのだ。

民進党の改革路線が挫折すると、戦後以来の台湾の改革路線は頓挫するだろう。

ーー

核、エネルギー問題をはじめ、環境問題など、地方首長だけでは解決できない問題は実に多い。

もちろん、これらは政党や国家だけでも解決できる問題ではない。

ーー

蔡英文が断行した年金制度改革だけでも、政権安定に確実に響いている。

様々な問題を解決していかになければ、台湾に未来はないのだ。

それがわかっていても、現実には問題解決は難しい。

今回の選挙の結果を受けて、中国の台湾に対する圧力は強くなるはずだ。

ーー

しかし台湾の「民意」だけで台湾の未来を決めることはできるのかというと、それも難しい。

ーー

2年後のことを言うのは時期尚早かもしれない。

しかし、各党派は、来年から候補者の選定や指名をしないと選挙に間が合わないのだ。

今回の選挙では政治家の世代交代が顕著だった。

2020の国政選挙には、いったい誰が政治家としてふさわしいのか。

若い、新しい考えを持つ政治家が出てくる可能性もある。

ーー

台湾の内外情勢を鑑みて、蔡英文総統の2期目はないと言われている。

では、2年後、台湾政治を牽引する人物は誰なのか、蔡英文に代わって誰がなるのか。

今の段階ではわからないが、台湾が過去に後退するようなことになることだけは避けるべきなのだ。

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コメント

>縦椅子様 本日も更新有難うございます。
>>台湾民進党大敗のその後
 日本では、マスコミが騒がないので、危機感が募りませんが、是は日本にとっても一大事だと思いますね。 放って置いても、吸収~消滅する事が確定的な韓国の事などどうでも良い話です。

 元々、国民党は、蒋介石・宋美齢の夫婦、つまり浙江財閥と英系ハザール財閥のサッスーンとの繋がりで、反日・親米だったのですが、米国生まれ・育ちで、反日の馬英九総統以来、親大陸派に変身しっと目される国民党が、再び政権を握れば、日本の防衛負担も変わってきますね。 其れに関して、米支戦争後には、台湾に米軍の巨大基地が出来ると言う話もありましたが、国民党ならどうなる事やら、不透明になって終いました。

 是なら、沖縄が対シナ最前線に成るのですから、沖縄の米軍基地の意味が重要になりますよね、ダケド、現状のデニー玉城知事では、沖縄はシナにくれてやる話になりかねません。 

 まぁ、そんな話は、安倍さんも米国が許さないでしょうし、県知事クラスには、国政を左右する様な判断は許されて居ませんから、沖縄の基地の増強という話になるでしょうね。

 是で、安倍さんがG⒛の会場で、トランプに、「シナ制裁についての再検討を提言した」意味が分かりましたね。 マスコミは、「控えめにした方が良い」とか、勝手な推測で、印象操作をして居ましたが、是なら、「何処までやるかを再検討すべきだ」と言う事に成りますよね。 

 習も、自身の命が懸って居ますから、当然ながら一歩も引く気は無さそうですし、トランプが一旦引くと見せて、別の手立てを用意する可能性が高いですね。 此方は、年内に何か大きな動きが有るかもしれませんね。 米国が、現状のシナを許しても、習と王岐山だけは許さないでしょう。

 まぁ、台湾人も日本人と同じで、若い世代が、個人の意見が何処までも通ると思って居るんですね、世界の情勢を具に看て、国の危険を察するだけの知性が無いんでしょうね。 是なら戦争は絶対に止められませんよ、そして、必ず負ける。

 こうなると、米国の諜報活動や謀略組織の国策の進行度合いが、気に成りますが、勿論。双方の激しく暗い戦いがまくうらでくりひろげられているでしょうね。

 私が思うに、断然シナの方が不利なのは、習は自分の味方とするべき勢力を、浄化運動とか称して、ライバル組織の相当数のメンバーを、既に、万人単位で粛清して終って居るのですから、シナの現状は、恐怖で支配されていると言って良いでしょう。 然し、習の人間不信は、この先の事態の進展で、追詰められてゆく裡に、オソラク更なる粛清を産むでしょう。 つまり、自滅するのは見えて居ますからね。

 金で動くシナ人ですから、習に大金を出資すると言う勢力が居れば分りませんが、そんな勢力って、今の世界に国際金融組織以外に居るのでしょうかね。 私はいないと思いますので、その金融組織を敵に回して居る習近平は、多分助からないでしょうね。 仏系ロスチャイルドが味方に回る可能性は有りますが、勝ち目のない戦いに、敢えて資金を注ぎこむ愚を犯しますかね?

 唯、ロスチャイルドは、出来るなら熱戦は回避したい様なので、この先、台湾・沖縄ラインの軍事強化策をドゥするのかで、解決の方向が見えて来るのではないでしょうか。 でも、米国の朝鮮への措置を看て居ても分る様に、米国は、完全な無力化を要求して居ますが、実質の自身の戦闘力すら、マトモに測れない人民軍が、大人しく引き下がるとは思えないんですがね。

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