時をさかのぼることでオバマ氏の次が「トランプ的なものになる」というのは既定路線だったことがわかる
ーー以下「現代ビジネス、猫組長コラム」より抜粋編集
「トランプ時代」はすでに2013年3月から始まっていた。
2013年3月、これは前年に胡錦涛氏(75)の後を受け継いで支那共産党の最高指導者となった習近平氏(65)が、中華人民共和国第7代国家主席となったまさにその時だ。
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胡錦涛時代の10年間でアメリカの対支貿易額は5倍に拡大、アメリカが支那との関係を戦略的相手(パートナー)ばかりか「G2」と呼びはじめた。
この流れは、『元経済ヤクザが読み解く「米支新冷戦」の本当の恐ろしさ』でも書いた。(https://gendai.ismedia.jp/articles/-/57974)
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国家主席就任3カ月後、当時大統領だったオバマ氏と習氏の米支首脳会談がカリフォルニア州で行われた。
その席で、習近平氏は「広大な太平洋には二つの大国がすっぽり収まる空間がある」と、新二大国構想を提言。
支那共産党にどれほどの遠謀深慮があったのかはうかがい知れないが、この瞬間、「今日のアメリカ」が生まれたのである。
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海はもっとも安価に早く物を運ぶ究極の流通路だ。
人類史上、この流通路(海)を持たない国は世界の覇権を取ったことがない。
だからドイツは覇権を求めてフランスに侵攻し海を求めた。
旧ソ連は不凍港を求めて支配域を広げていった。
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アメリカ合衆国の経済活動のおおくが、大陸東西の大海に面する海岸線を利用した「貿易」によって成り立っている。
アメリカはマレーシアや、グアム、沖縄といった、世界の海運の重要拠点に強大な海軍基地を置き、自国の貿易を保護し続けている。
そしてそれがアメリカの世界覇権を確固なものとしたのである。
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これを踏まえて習氏の発言を読むと、それは「アメリカが確立した覇権を奪う」と宣言していることになる。
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2年後の2015年、アメリカ国内では今日の対支政策を予見させるような論文が相次いで発表された。
トランプ政権の肝いりで新設された「通商製造業政策局」のトップを務めるピーター・ナヴァロ氏の「Crouching Tiger」(邦題『米支もし戦わば―の地政学』文藝春秋)。
90年代後半から親支派としてCIAで支那の軍事研究をしていたピルズベリー氏が、親支派と袂をわかち自らの経験を元に書いた「The Hundred」(邦題『China 2049 秘密裏に遂行される「世界覇権100年戦略」』日経BP)。
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オバマ氏が世界に強いたのは、アメリカの国防費削減のための「戦略的忍耐」というガンジーも驚きの方針であった。
これは、アジア地域を含めた世界の安全保障に大混乱をもたらした。
だが、アメリカは、その後わずか2年の間に、次世代の国際戦略指針(ビジョン)を作り上げたことになる。
この時期、トランプ氏は大統領候補としては、無名に近い扱いだった。
しかし、時をさかのぼることでオバマ氏の次が「トランプ的なものになる」というのは既定路線だったことがわかる。
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米議会が与野党一丸となって対支強硬策を牽引(けんいん)しているのも、習発言があった13年からの5年間、練りに練った国家戦略の結果である。
つまりアメリカは、5年間のうちに戦略を練り、現在の、支那との「新冷戦」を選択した。
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だが、旧ソ連との冷戦以来今日まで、頭を悩ませているのが「軍事費」だ。
ストックホルム国際平和研究所の報告によれば、2017年のアメリカの軍事費は6098億ドル(世界1位)で、支那の2282憶ドル(世界2位)と比べても大きな開きがある。
GDP比で見てもアメリカの3.15%に対して支那は1.91%、とその差は大きい。
ただし、その差の根底にあるのが、アメリカが「世界に防衛網を敷いている」のに対して、支那は自国のみを防衛している、という違いだ。
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トランプ氏は「同盟国はアメリカの安全保障の下で経済成長を謳歌している」として、NATO諸国に対して「防衛費はGDPの4%」を提案している。
これは今後アメリカは支出を抑制しながら自由主義諸国全体としての軍事力を維持することを意味する。
日本にも軍事費を増やして欲しい、という。
「日本は、対支那に集中して欲しい」というのがアメリカの本音だろう。
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そこで障害となるのが、北朝鮮の核開発である。
対支戦略を併せて考えても北朝鮮の核開発に対抗するには「日本の核武装化」が一番簡単な方法だ。
しかし唯一の被爆国である日本は、アメリカに対して核兵器で報復できる権利を持った唯一の国、とみることもできる。
これが、アメリカが日本の核武装をしたくてもできない事情だ。
報復される可能性について、アメリカは決して排除していない。
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この米支新冷戦の流れの中で、米朝首脳会談が実現したと私は考えている。
その根拠となるのが、共同宣言における、次の4項目の合意だ。
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1.米国と北朝鮮は、両国民が平和と繁栄を切望していることに応じ、新たな米朝関係を確立すると約束する
2.米国と北朝鮮は、朝鮮半島において持続的で安定した平和体制を築くため共に努力する
3. 2018年4月27日の「板門店宣言」を再確認し、北朝鮮は朝鮮半島における完全非核化に向けて努力すると約束する
4.米国と北朝鮮は(朝鮮戦争の米国人)捕虜や行方不明兵士の遺体の収容を約束する(これには身元特定済みの遺体の即時帰国も含まれる)
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ここで考えなければならないのは、「2」の存在だ。
「持続的で安定した平和体制を築くため共に」という文言は、広い意味での体制変革を行うことをにおわせる。
この文章でアメリカが現実的に考えているのが「日本型統治モデル」であろう。
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終戦後、アメリカは、戦前の統治者である天皇を象徴にして、議会制を頂点にした新たな民衆政治democracyを導入した(と米国は考えている)。
(戦前から日本人は議会制民衆政治をしており慣れていたが、朝鮮でそれがなされたのは併合時の35年間のみ)
そして日本に「国軍不保持、交戦権放棄」の憲法を強制することで武装解除し、米軍が安全保障を担保することで、日本の同盟国化に成功した。
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つまり、「2」の意味するところは金正恩氏の象徴化、民衆政治democracyの導入だろう。
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知人のアメリカ大手金融機関のアナリストも概(おおむ)ね同様の見解だ。
アメリカは平和的に北を日本に近い形で統治することを考えていることになる。
そのことは、「4」からもわかる。
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米国人捕虜や行方不明兵士の捜索は通常「軍」が行うべきものなのだ。
つまり「4」は、米軍の北駐留を示唆している。
ここに「3」を加えれば、4項目合意とは実は、「北朝鮮が核を放棄すれば、アメリカはロシアと支那から北朝鮮国民を守る」という「米朝安全保障条約密約」と読める。
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金王朝は、これまでも瀬戸際外交を繰り広げて、アメリカから物資などの「旨み」を吸い取っては煙に巻いてきた。
拉致問題を抱える日本人からすれば、この米朝共同宣言が守られるかどうか不信感を抱くのは当然だろう。
間もなく、二度目の米朝首脳会談が行われる予定だ。
注目すべきは「体制の変換を受け入れる見返りに、アメリカが新たに北を守る」という声明(メッセージ)を世界に発信するかどうか、だ。
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この「4項目合意」にいち早く動き出したのが、日本の裏社会経済人たちである。
米朝首脳会談翌日には、ある在阪の不動産業者に「柳京ホテルを買わないか?」という申し入れが北労働党高官からあったという。
柳京ホテルは、CNNで「滅びのホテル」と報じられたピラミッド型の未完の建造物だ。
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本来は「表の世界の人間」にとっての儲け話だが、拉致問題を抱える日本人にとって北と関係することは、違法行為になる可能性がある。
何より国連や日本独自の制裁措置がある。
対北投資を目的とした銀行からの資金調達はほぼ不可能、それどころか、表社会では社内稟議も通らない。
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一方、裏社会には、朝鮮人が多い。
そして裏社会には、表とは別のやり方がある。
「とにかく早く着手しないと利権に与(あずか)ることができない」
北が新体制になるという話は、裏社会では、儲ける絶好の機会と考えられている。
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北には多くの地下資源がある。
採取時に健康被害などが伴うレアメタルの扱いなどは、ヤクザお得意の仕事だ。
ヤクザは暴排条例などで資金調達が難しくなっている。
それで、組織の垣根を越えて北朝鮮開発資金を共同出資する「ヤクザ・ジョイントベンチャー」を立ち上げる話も聞こえてくる。
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突如開けた黄金郷に、朝鮮系裏社会人たちは口々に「これから北への出張ですわ」とえびす顔だ。
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こうした裏社会の経済人のほとんどが北京を経由して北に入国する。
一部の「実力者」は支那の瀋陽で北高官とビジネスの話をしてから平壌入りするのが一般的となっている。
瀋陽が北に物資を横流しする重要拠点であることは言うまでもない。
が、このことからも北の本気度が伝わってくる。
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アメリカが北の安全を保障した。
このことは、トランプ氏に献金する米国系企業が、北進出を模索していることからも明らかだ。
まだ報じられていないのだが、アメリカ企業が北にカジノ建設をする計画もすでに動き始めている。
ーー
だからこそ日本の裏社会経済人たちも必死になっている。
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10月19日に、アメリカが米韓の合同軍事演習「ビジラント・エース」を中止すると発表した。
これが、米朝共同宣言の具体的な現象といえよう。
米支新冷戦構造構築に向けたアメリカの対北政策は、急速に進行しているとみて間違いない。
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コメント
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>縦椅子様 本日も更新有難うございます。
>>予定調和の様な歴史の流れと北朝鮮処分
私も、米支戦争終結後の極東、特に、朝鮮半島の扱いをどうするのだろうと、気を揉んで居ました。 文在寅が大統領である限り、韓国が国として自立を保てないのは、既知の事実でしょうから、問題になるのは、北朝鮮の扱いをどうするのか、と、云う事でしょう。
米国の是までの、戦後処理で地番上手く行ったのが、日本であった事は、論を俟たない話ですが、日本は固より、西洋文明とは違う道のりを歩んで来ただけで、日本には、西洋文明を遥かに上回る、民衆の意思や要求を重視する政治を為政者が存在させてきたのだから、上手く行くのが当たり前で、反対に、WGIP等に拠って、日本の社会に、ネガティブな要素が注入されて、その弊害に日本は、戦後73年も経つのに未だに、悩んで居る。
米軍統治が上手く行ったと言うのは米国の歴史に対する無知と思い上がりの結果でしかないと私は思って居る。
加えて、朝鮮民族の国は、その真逆の政体をずっと続けてきた、騎馬民族の国だろう。 彼らには、肝腎の民衆に、「自分達の国」を望むに、その具体的な形も、国を運営する責任感も存在しないのだから、謂わば、幼稚園児に、車を運転させる様な怖さが有る。
然し、そうは言っても、他に、朝鮮族を現実に、平和的に扱う方帆は今の処見当たらないのだろうし、日本にとっても、在韓米軍は、寧ろ、朝鮮に移駐した方が、拉致問題や総連・民団問題、そして、在日の帰還などの諸問題の解決は、国が1つに成る事で、解決への見通しも立つ。
願わくば、その国を援けるのも日本では無く、米国、或いはロシアであると言う、新たな構図を作ってほしい。 日本と朝鮮zくは、盗人と農民の関係と言う古代からの構図其のままなのだから、兎に角、日本は半島とは絶縁したいのである。
それでも、私は心配になるのは、米国が、日本をそうした様に、イラクをそうした様に、途中で投げ出さないかと言う事である。
イラクの場合は、前任者のサダム・フセイン時代から、米国はCIAを通して、イラクの裏社会と通じて居た筈だが、サダム処刑後、米国の統治が、上手く行った様子は、全く無いままに、米国はイラクを離れたので、イラクは未だに国力を回復出来無いままで、結局、米国がイラクに齎したものは、破壊と殺戮だけだった、と言われても、米国は反論できまい。
上手く行ったと米国が自画自賛している日米関係の裏には、日本社会の高い民度の民衆と優秀な官僚の力が有った事は、否めないだろう。 然し、同じ事を朝鮮や韓国に求めても無駄である事を、米国は覚悟すべきだろう。
そして、日本にとっても、在日している帰化朝鮮族と新国家で経済を展開する現在の韓国財閥系との古い絆が、息を吹き返して、犯罪集団が両国で力を持ち始めるのではないかと、危惧して居ます。
日本としては、対韓三原則をこの先も守って、処するのが肝要である。 彼らは元々遊牧民で有り、日本民族とは無縁の民族だと言う認識を強く持つべきでしょう。
私はこの前、蔵書の中から、横山光輝「=漫画家」の「チンギス・ハーン」全5巻を再読したが、前に亡かった、遊牧民と言う観点を持って読んだので、新たな知見を得る事が出来た。 其れは、遊牧民は、常に、生命の危機に晒される様な、生存権の危機状態で生きているのだから、上辺の盟約だの、義兄弟や親子の契り等、全て、政治的なプロパガンダに過ぎず、その実態は、「弱肉強食」の法則そのままの世界である、と言う事だった。
其れに加えて、女性は完全に「子を産む機能を持つ家畜」に過ぎない扱いをされて居たし、戦に成れば、男は、戦闘員だろうが非戦闘員だろうが、殺されるか奴隷にされるのだから、戦利品扱いに成る女の方が、まだマシかもしれない、チンギス・ハーンやその兄弟も、父親であるモンゴル族のハーン(族長)のエスゲイが、メルキトと言う隣の部族を襲って手に入れた女を母にしている。
朝鮮族自体、李子朝鮮朝を建てた、李成桂の真の出自は、遊牧民族の女真族である事から、朝鮮社会も遊牧民の常識を基底にして居たと見るのが正しいでしょう。
彼らは、常に生存権ギリギリの生活をして居るカラ、立場の強弱は生まれた時から、決まって居て。其れに何の疑問も持って居ない。 是を儒教と言う人が有るが、ならば、儒教自体の淵源には、遊牧民族社会の常識が有ったと言う事に成るだろう。
戦後に現れた日本で、4世紀に日本に騎馬民族が渡来して来て、大和朝廷を建てた様な説を流した江上と言う歴史学者がいたが、全くの妄想ですか無く、現在の天皇家のDNAには、大陸成分は含まれていない事が、ハッキリしている。
寧ろ、南の長江遺民であった新羅の影響や、天皇家自体が、長江民と血縁の在る海人族の協力に拠って、成立した王朝なので、男系遺伝子は兎も角、建国以来の家臣団である大伴氏や久米氏、物部氏、大陸系の蘇我氏、藤原氏等は、その外戚ではあっても、皇統への影響は排除されて来たのは、皇統を護るで、豪族たちも利益を蒙る状況が想定される。
倭国大乱の覇者であろう崇神帝の御代が、紀元頃だと、私は思って居るので、その後、仲哀帝の子応神帝に続く、シナの劉宋書に曰く「倭の五王」時代には、シナ王朝も恐れる強国に成っていたと思われるので、騎馬民族の渡来など、戦いに拠って得る利も、勝ち目も薄い、海を超えての遠征は、有り得ないと思います。 現在は取り上げられなくなった。
話を戻すに、朝鮮族の中身を近代化するのには、千年懸りそうな気がする、然も、指揮を執るのは、農耕民族だが国家観が十分な歴史を経て居ないので単純な米国ですから、日本は否応無しに巻き込まれるでしょうね。 米国もそれを期待しているし、ハザール人は、新朝鮮の存在は、日本に対する「ハンディ」ではないかと考えて居る向きもあるだろう。
そして、その対応に当たるのは、安倍政権の後継政権であろう。 其処には、ロスチャイルドと繋がった麻生さんはいないし、トランプ大統領に信任暑い安倍さんも居ないのである。 この事態を、マスコミは狙って居ると見ゆる、つまり、放送法改正をモゥ3年遅らせれば、現状を続ける事が出来ると思っている様だ。
だが、マスコミ界の信用失墜は、既に、回復不能になって居るのは、致命的な信用毀損行為であるフェイクニュースを連発して、その責任を全く無視して居る姿勢に有る事賀、自覚できていないのだから、時代の流れに拠る自然淘汰の波も迫って居ると気付かねば、イケないだろう。
投稿: ナポレオン・ソロ | 2018年11月 4日 (日) 10時57分