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2018年1月 9日 (火)

人生には出会いとせつない別れがつきものなのだ

ーー以下「頂門の一針、馬場伯明コラム」より抜粋編集

アニメ映画「君の名は。」(新海誠 監督)は、2016年8月に劇場公開された。

世界中で人気となり、これまでに1400万人に鑑賞されたと言う。

その人気のアニメ映画がこの1月3日にテレビ朝日で放映された。

ーー

時間や空間とは何なのか。

そんな不可解な世界を、作者は、量子力学を咀嚼したうえで、男女の出会いとは何なのかという、物語で描いて見せた。

その力量は、まさに神業であるように思えた。

ーー

ところが、「まったく理解できない」とか、「幼稚で子供だまし」と評している人も居たのである。

ーー

宇宙では光速が一定であるとされている。

その原理によると、地上で星の分光(スペクトル)を観測することで、宇宙は少なくとも100億年以上前に出来たと計算されている。

ところが宇宙には無数の星がほぼ均質に存在する。

それは宇宙が一気に出来上がったことを意味する。

光速が一定だとすると、そんな宇宙は作れなくなる。

ーー

つまりわれわれが住む世界の時間や空間というのはどうやら人間の理解を越えている可能性があるのである。

しかし現に人は特別な社会に生まれ生活し老い死んでいく。

これは人が空間と時間にかかわって生きていることを意味するものだ。

ーー

その社会(空間)で、世代(時間)をつないでいるのが、まさに男女の営みなのである。

それを作者は、東京と長野(飛騨)に生活する男女の時空を、1200年周期の彗星到来を契機に動かし、恋物語を作って見せたのである。

ーー

遠く離れて生活する男女がそれまでの生活習慣を引きずったまま入れ替わる。

それはとてつもなく奇怪なものになるだろう。

それぞれの持つ文化も奇怪さを増幅する。

さらに、それに時間が記憶と結びつく形で表現される。

記憶していなければ無かったこと、つまり時間が止まったことに成る。

ーー

千年の歴史を伝える家系に生れた女子高生「みつは」と、東京で暮らす男子高生「たき」が意識を入れ替える。

みつはの精神がたきの肉体に入り、たきの精神がみつはの肉体に入る。

それは、彗星が1200年周期で地球に接近する日に起こる。

しかしその記憶は消失する。

ーー

その彗星は、1200年前に接近した時、その欠片(かけら)がみつはの住む地域を直撃しその痕跡を残している。

その痕跡である巨大なクレーターは、みつはの実家「糸守神社」のご神体となっていた。

ーー

その彗星が、1200年ぶりで地球に接近し、その欠片を再度糸守地区に落とし地区を壊滅させる。

ーー

ある日、「たき」は、彗星の欠片が直撃し壊滅した糸守地区のことを知る。

その写真を見て、たきは、その地区にかつて居たことがあると感じる。

写真にある湖、小学校の校舎、鳥居、アーチ型の石橋は、確かに以前・身近に目にしたものだった。

ーー

たきは記憶の中から、巨大なクレーターを、みつはの祖母に伴われて訪れたことを思い出す。

そして、糸守地区を訪ね当て、糸守神社のご神体(クレーターの中にある)を探し当てる。

そこで、かつてみつはの肉体と入れ替わっていた時、お供えをした「口噛み酒」を見つけて飲む。

すると「たき」は「みつは」の体に入り込むことができた。

ーー

たき(みつは)が空を見上げると、時間が戻っており、彗星は、まだ分裂していない。

たき(みつは)は、住民に、やがて彗星の欠片がこの地区を直撃するので避難せよと知らせる。

ーー

5年が経ち、たきは、その間の出来事をほとんど忘れているのだが、自分が、誰かを探し求めていることに気づく。

糸守地区の写真を見つけると、理由はわからないが、気になって仕方なかった。

そして、5年前に彗星の欠片が落下した際、(時空が入れ替わっており)、住民のほとんどが避難して助かったことを知る。

そんな時、電車のドア越しに女性と目が合った。

急いで電車を降り、追いかけると、女性も同じように降りてきたのだろう、二人は出会う。

二人はすれ違い、同時に振り返って、「君の名は(あのときの)・・・」と心の中で叫ぶのだった。

ーー

私は、劇場で見て、絵の圧倒的な美しさに感動した。

ーー

新海監督は当初は題名を「君の名は。」 ではなく「夢と知りせば」にするつもりだったらしい。

小野小町は次のように詠んでいる(古今和歌集)。

思ひつつ寝(ぬ)ればや人の見えつらむ夢と知りせば覚めざらましを

(あの人が出てくるようにと願って眠りに就きたい、そしてあなたが夢に出てきたらどうか覚めないでほしい)

ーー

そして、私は、なぜかしら「なつかしい気分」になった。

私たちはいつも誰かを待ち、求めている、そんなときが私にもあったからだ。

人生には出会いとせつない別れがつきものなのだ。

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コメント

縦椅子さま

 今日は時間と空間を超え、た素晴らしいアニメ映画「君の名は」のご紹介ありがとうございます。
 この世の中は不思議で一杯で、この長い間生きてきた道もあっという間の一瞬であったように思え、そのなかで出会った稀有な出会いが、こころを占めそのほかのものは、忘却の彼方にいってしまっているの感があります。しかしその出会いもどうしようもない事情で、接点が見いだせない状況になったりすることもあり、本当に不思議ですが、あきらめないで待っていると、神様は、予期しないことをおこしてくださるかもしれません。だから月や星に祈るばかりです。今年の一月一日元旦に西陽さす赤富士に大きなスーパームーンが真上にかかるというありがたい奇跡がおこりました!今年はどういう年になるのでしょうか?いい年になりますように!!
素晴らしいブログに感謝して!! ありがとう!!

貴ブログで、私も執筆に参加しているメルマガ「頂門の一針」の中の、私の文章の一部を取り込んでありましたが、貴ブログの文章全体がうまく表現・編集されていたのに感心しました。年齢を加えるごとに「モノ」や「コト」に感動する心が衰えていくくことに、私(70歳超)は危機感を抱いています。馬場伯明

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