スペツナズとはロシア軍の特殊部隊であり、ロシア語で「特殊任務」を意味する
ーー以下「宮崎正弘ブログ、書評」より抜粋編集
M・ガリオッティ著、茂木作太郎訳『スペツナズ』(並木書房)
著者は英国人で、ロシア軍の研究者である。
スペツナズとはロシア軍の特殊部隊であり、ロシア語で「特殊任務」を意味する。
徴兵の中から選抜される軽歩兵部隊である。
これはロシア軍の特有な運用形態であり、隊員は、即応能力が高い訓練を積んで練度高く、任務に忠実、規律に厳正に従う。
ロシア最強の特殊部隊と言われている。
ーー
クレムリンが軍事介入するときには『槍の穂先』『尖兵』として1920年代から活躍してきた。
淵源をたどると中央アジアの反乱鎮圧に派遣されたボルシェビキ部隊で、スペイン戦争にも極秘に参戦し、1979年にアフガニスタン侵攻では、先頭に立った。
90年代のチェチェンには歩兵部隊の代わりに投入され、2014年のクリミア併合では半島占領作戦に従事した。
こうみると大規模戦争よりも、局地戦に特殊任務を果たしてきたことが分かる。
ーー著者はこういう。
「1999年の(第2次)チェチェン紛争で、陸軍の一般部隊が実戦に耐えうる態勢になっていなかったという理由から、スペツナズが歩兵部隊の代わりに戦闘に投入された」
このことからは「スペツナズ部隊に託された大きな期待がうかがえる」。
「スペツナズは本来、戦場での偵察、敵の指揮系統の混乱、補給線の遮断、北大西洋条約機構(NATO)の戦術核兵器の無力化などを主要な任務としてきた」
「ここから分かるのは、スペツナズは一般の軍偵・諜報部隊と情報・保安機関の隙間を埋める存在だということだ」
ーー
「現在、スペツナズは再びその規模を拡大しており、クレムリンの政治軍事の実行手段として、課せられた任務もまた増大している」
ーー
このスペツナズ部隊は西側の特殊部隊とは異質で、その秘密を探った珍しい本である。
米国のデルタフォースや、英国軍のSAS(特殊空挺部隊)は、エリート兵士で構成されている。
それに対して、スペツナズが徴兵の中から選抜された兵であることがまず強調される。
ロシアは、このスペツナズのような特殊部隊を使って、世界政治に介入してきた。
そのスペツナズが規模を拡大している。
これは、ロシアが何かを仕掛けているということを示すものだろう。
巻末にはスペツナズが使用している最新鋭の武器も解説されている。
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コメント
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ロシアは、ソ連の後を受けた軍事国家だと思っていました。
ソ連からロシアになった後、チェチェン紛争を戦ってきた経過から、軍隊は強大克つ強力と考えていたのですが、思い返しますと、ソ連からロシアになる際に多くの国が分離独立していますから、人口も大きく減らしたため、軍隊も縮小していたことに気付きました。
それでも、軍隊全体では100万人以上いるそうですから、単純計算では日本の自衛隊の4倍になります。
それに、ICBMを含む核兵器も整備しています。
ただ、原子力潜水艦の場合には、老朽化した物を放置したことがあったから、地に落ちた軍隊の印象もあります。
そんな中にあっては、徴兵の中から養成されたスベツナズは、強力な存在なのだろうと思います。
日露戦争において、ロシアのコサック兵が強力な機動部隊で士気も高かったから、そのような感覚で見れば良いのでしょう。
大東亜戦争末期に満州や千島・樺太に侵略したソ連兵は、強かったのかも知れませんが、規律は極めて悪い物でした。
もっとも、ソ連は軍隊に対して、占領地での略奪・暴行を認めていたのですから、これは民度を表したものであり、今もその民度に期待は出来ないと思います。
スベツナズは良い武器を所持しており、ロシアはこれを生産しているのでしょうけれど、ロシアの生産物については武器以外の物を考えられないのは、ソ連時代の70年間を引きずっていると思います。
投稿: ポッポ | 2017年10月17日 (火) 16時05分