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2017年5月 4日 (木)

「公」のために「私」を捨てて生きた日本人の生き様を詠んだ歌

ーー以下「ねずブログ」より抜粋編集qazx

結婚し子供もでき社会的地位も得た。

そんな時、まるで前世の因縁でもあるかのように心惹かれる異性と出会うことが、実際に起こる。

そういう男女をツインソウルというのだそうです。

ーー

ツインソウルのような異性に出会ったら。

欧米社会では、個人主義つまり一番大事なのは個人(私)です。

常に自分の気持ちが主だし、゙最優先です。

欧米人にとって仕事は、あくまで生活のための手段でしかありません。

官僚であれ、幕僚であれ、閣僚であれ、あるいは民間の企業戦士であれ、仕事や地位や名誉など捨てて、自分の欲望を満たすことでしょう。

ーー

けれど我が国では、「公に尽くす」ことを優先するのです。

日本人にとって、「公」というのは、目上の人や組織のことではありません。

「公」というのは、最上位におられる陛下の「宝」である民衆です。

つまり「公に尽くす」というのは、民衆のために尽くすことなのです。

日本では、誰も見ていなくてもお天道様が見ていると、厳しく自己を律して「公に尽くす」ことが、人の上に立つ者に必要とされている。

これが、日本社会なのです。

そして、「公に尽くす」生き方をしている人達は、今も日本中で見出すことができます。

ーー

千年経っても、日本人は日本人なのです。

例えば、千百年前にそのことを詠んだ歌が、百人一首の中にあります。

出典:『ねずさんの日本の心で読み解く百人一首』

ーー

百人一首の25番は、三条右大臣の歌です。

 名にし負はば 逢坂山の さねかづら
 人に知られで くるよしもがな

この歌は「丈夫なことで知られている逢坂山のさねかづらで、人に知られないであの人を手繰り寄せたい」「人に知られで」ですから、「秘密の恋を詠んだ歌」とされています。

選者の藤原定家は、作者を藤原定方(ふじわらのさだかた)でなく、彼の職名「三条右大臣」としています。

つまり、この歌は、公職に関係がある歌であるということになります。

ーー

「逢坂山」には、 「逢う」が、「さねかづら」には「小寝(さね)」が隠されていて、読者に同衾(どうきん)を想像させます。

同時に、「かづら(=葛)」は、絡みつく情愛と、強靭な生命力、繁殖力を暗示しています。

ーー

しかし下の句では、その様子が一変しています。

ここでひとつ注意が必要なのは、「くるよしもがな」の「くる」という言葉です。

「くる」は、「来る」と「繰る」に掛かりますが、当時は通い婚社会です。

女性を屋敷に呼びつけるようなことはありません。
あくまでも男性が女性のもとに通います。

ーー

江戸時代初期、この「来る」の意味が分からずに歌の解釈を巡ってだいぶ議論があったようです。

しかし、 江戸中期になり、この「来る」は相手の視点であることが判明しました。

つまり、女性の方が藤原定方を、丈夫な葛(かずら)で手繰り寄せたくても、「人に知られないようにそれをすることはできません」という意味になります。

ーー

藤原定方はこの女性のことが、たまらなく好きになってしまった。

ツインソウルに巡り合ってしまった。

ところが藤原定方は、その時すでに右大臣です。

つまり公人であり、責任ある、社会の範となるべき立場に居たのです。

ーー

右大臣は、国の最高機関である「太政官」の中にあって、太政大臣、左大臣に次ぐ三番目の高い位です。

公人であり、責任ある仕事を山のように抱える人であり、常に組織のことを考えた行動が要求された。

右大臣には、ひそかに好きな女性のもとに通う時間も自由もないのです。

ーー

ここでひとつ注釈が必要です。

諸外国において政治権力者は、人を支配し牛耳る存在です。

権力者は支配者であり、民衆は被支配者です。

そこにあるのは「支配と隷属」の関係です。
権力者というのは、簡単に言ったら所有者です。

ですから権力者の下にあるものは、人間であれ、土地や物であれ、すべては権力者の所有物です。

ですから自分の旗下に、欲しいものがあれば、それを奪うことに何の躊躇もありません。

逆らえば死を与えるのみです。

それが諸外国における権力者(所有者)の持つ意味であり、立場です。

ーー

よく引き合いに出すことですが、西洋でも支那・朝鮮でも、夫にとって、美しい妻は自分の所有物です。

けれどその夫は、王や貴族の所有物です。

「三国志」の中では、劉備をもてなすために、自分の妻を殺しその肉を料理して出す場面が出てきます。

ですから王や貴族が、配下にいる男性の妻を、勝手に奪って自分のものにしても、どこからも苦情は来ません。

その配下にいる男性(夫)が、妻を奪われることに抵抗すれば、西洋ならそれは死を与えるのみですし、支那なら、その夫は食べられてしまいます。

それが長い間の彼らの常識です。

ーー

ところが日本の政治権力者というのは、支配者でもなければ、所有者でもありません。

どこまでも天皇の「おおみたから」である民(たみ)を預かる立場です。

「おおみたから」ということは、「陛下の大切なたからもの」という意味です。

所有者はどこまでも天皇です。

けれどその天皇は、権力の行使はしません。

つまり、支配権の行使も、所有権の行使もしません。

支配権も所有権も、行使をするのは、天皇に親任された政治権力者です。

ところがその政治権力者にとって、その政治権力を行使する相手は、天皇の「おおみたから」なのです。

ーー

この歌を詠んだ三条右大臣、藤原定方は、そういう立場にいます。

人を私的に支配している権力者なら、彼は思う女性を、勝手に自分の女にすれば良いのです。

けれど彼にとって、その意中の女性は、天皇の「おおみたから」なのです。

彼が私欲に負けて、身勝手な行動に出れば、それは天皇の「おおみたから」を預かる者としての失格を意味する。

なにより「おおみたから」を預かる者として、民に示しがつかなくなります。

ーー

これが外国「ウ シハク国」と日本国「シラス国」の違いです。

ーー

右大臣といえども、ふとしたきっかけでツインソウルと出会い、 強い恋心を寄せてしまうこともあります。

ほんの一瞬の出会い、あるいはちょっとした出来事がきっかけとなって、恋心が燃える。

今すぐに逢いたい、二人だけの時間を過ごしたいと思う。

そういうことに、身分や男女の貴賎は関係ありません。

ーー

けれど藤原定方は公人なのです。
だからこそ彼は、逢いたい気持ちがあっても、
彼は、彼女のもとへ通うことはありません。

なぜなら歌に願望を表す終助詞「もがな」とあるからです。

個人の欲望や恋心は、私事であり私心です。
現役の閣僚である彼は「公人」です。

ーー

日本における「公人」は、天皇の「おおみたから」が、豊かに安心して安全に暮らせる世の中にすることがその役目なのです。

それが「天皇の民をお預かりする」ということなのです。

だからこそ、両思い(ツインソウル)であったとしても、彼は逢いに行かないのです。

それ故に藤原定家は、この歌の作者名を職名の「三条右大臣」とした。

ーー

実は、下の者(民)を「宝」として大切にするというのは日本独自の思想です。

ーー

「いやいやそんなことはない」と思われるかもしれませんが、例えば支那の儒教には、下の者を大事にするという思想はありません。

儒教は常に、自分よりも地位の高い者を優先します。

良い例が「諱(き)」の概念です。

これは、上の者が間違ったことをしたとしても、下の者はそれを庇って嘘をつくことが正しいとする概念です。

ですから儒教国では、たとえ上の者が非道の限りを繰り返したとしても、下の者は嘘をついてでも、その上司を庇(かば)わなければなりません。

それが支那における正義です。

(この考えがあるために習近平の下(もと)には正確な情報がもたらされない)

ーー

日本は儒教から、「仁義礼智信」などの行動原理(道徳)を取り入れました。

しかし「諱(き)」の概念は取り入れてはいない。

日本は、「日本に元からある行動原理だけを、儒教から取り入れた」ということになります。

儒教国では当たり前の「諱」の概念も行動も、日本は受け入れなかった。

このことは、逆に言えば、基になる思想がなければ百パーセント儒教の行動原理に染まるということを意味します。

おとなりの朝鮮半島が、その良い例です。

ーー

さて、藤原定方は、この歌を「女につかはし」たとあります。

その燃える思いは、重なり合った葛の葉やツルによって視覚的にも強調されています。

しかし彼は、「逢いたい」という私心を抑え、決然と、「逢えない」と詠んでいる。

これが日本の男の美学なのです。

要するにこの歌は、「公」のために「私」を捨てて生きた日本人の生き様を詠んだ歌であると申せましょう。

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多民族共生て、外国人による日本人に対して多民族強制ですか?日本人にはやりたい放題

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