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2017年5月16日 (火)

常不軽(じょうふぎょう)菩薩

シュリーマンが、江戸時代末期の日本を見てその文化文明の高さを絶賛しているのだが、何故このような素晴らしい状態が、体系的な宗教無しに成立しているのかと、疑問を呈している。http://qazx.blog.eonet.jp/docdoc/2008/06/post-4e51.html

確かに日本には、数え切れないほどの寺院や神社はある。しかし例えば、仏教について、果たしてそれがどのような教えを持つものなのか、またはバイブルのような、その教えの内容を記した決まった経典があるのかと聞かれても答えられる人は居まい。ましてや神社にはそういった類のものが何も無い。

漢文で書かれている仏典は、普通の日本人が読んでも意味不明なのだから、仏教のバイブルであるとはいえない。そのような状況であるにも関わらず、人々は正直で気品があり清潔で、わずかな数の武士達によって完璧に統治されており、犯罪と言うものが非常に少ないことにシュリーマンは驚愕したというのである。

仏教は各宗派によって教えの内容が違う、という人が居る。しかしそれではどのように違うのかと聞くと、拝み方はこれこれで数珠の形はこうでと、形式については詳しく語れるものの、それ以上の、つまり教えの中身についてはほとんどの信者が何も語れないのだ。

しかも、仏典は多数知られているものの、サンスクリットの原典まで知られるようになった今でも、統一された日本語決定訳は存在しない。仏教徒を自称する人たちが、その教えを知るためには、インド人アンベードカル博士が英文で書いた「覚者の教え THE BUDDHA AND HIS DHAMMA」を読むしかない、というのが、現状なのである。

ところが、そんなことはどうでも良いようなのである。宮沢賢治あるいは、日本人の多くの仏教徒であると主張している人たちは、どういうわけか、その教えを仏典になどほとんど関係なく実践しているのである。知らず知らずのうちに覚者の教えを実行している。恐らくそれが、シュリーマンが、不思議に思い疑問に思ったことであったのだと思われる。

宮沢賢治は、南無一塔両尊四士を掲げている。宮沢賢治は、法華経信者であったのだ。南無とは、帰依する、信じるという意味である。

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クリスチャン・ムスリム・ユダヤが、その経典に王冠をかぶせて尊重するように、法華経は、信者からは宝(たからもの)とされ、宝(法)塔と呼ばれる。ウィキペディアの解説では、法華経信者の本尊(大切なもの)は、一塔両尊四士つまり宝塔を中心に釈迦如来・多宝如来・四菩薩である。

四菩薩は、上行菩薩・無辺行菩薩・浄行菩薩・安立行菩薩であり、釈迦如来が説法をしていた際に大地が割れ、そこから涌き出た無数の菩薩を代表する菩薩たちであり、釈迦亡き後の末法の世において「覚者の教え」を護持するものとされている。

また法華経には、常不軽(じょうふぎょう)菩薩が登場する。彼は、ついには大悟し覚者となるのであるが、彼は、常不軽(決して軽んじない)の名が示す通り、「皆さん方を深く敬います」と、誰に対しても、礼拝するように接した。逆に人々は、そんな彼を軽んじ、さらには杖や枝、瓦石で彼を迫害したと記されている。

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1931年秋、東北砕石工場の嘱託として壁材の営業のために上京して病に倒れた宮沢賢治は、花巻の実家に戻って闘病生活をしていた。その時賢治は、黒い手帳にその当時の願望や自省を書き綴っていた。

今日この手帳は、研究者からは「雨ニモマケズ手帳」と呼ばれている。有名な「雨ニモマケズ」が、この手帳から見つかったからだ。青鉛筆で「11.3」と書き込まれていることから、「雨ニモマケズ」は、1931年11月3日に書かれたものと考えられている。

この手帳が発見されたのは、賢治が亡くなった翌1934年2月16日に東京・新宿で開催された「宮沢賢治友の会」の席上である。賢治の弟・宮沢清六が招かれており、賢治が壁材の営業でも使っていた、遺品の大きな革トランクを持参していた。席上、参加者の誰かが、この革トランクの中から、この黒い手帳を見つけ出したのである。

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さてそれでは、宮沢賢治は、どれ程、「覚者の教え」を実行しえたのか。それは、「雨ニモマケズ」に明らかである。その素晴らしい宮沢賢治の実践の内容をお目に掛ける。

慾ハナク
決シテ瞋(いか)ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル

ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ(苦にもされず)

これは正に、常不軽菩薩そのものである。それでは全文をお楽しみください。

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雨ニモマケズ
風ニモマケズ

雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ
丈夫ナカラダヲモチ

慾ハナク
決シテ瞋(いか)ラズ
イツモシヅカニワラッテヰル

一日ニ玄米四合ト
味噌ト少シノ野菜ヲタベ

アラユルコトヲ
ジブンヲカンジョウニ入レズニ
ヨクミキキシワカリ(よく見聞きし分かり)
ソシテワスレズ

野原ノ松ノ林ノノ
小サナ萓ブキノ小屋ニヰテ

東ニ病気ノコドモアレバ
行ッテ看病シテヤリ

西ニツカレタ母アレバ
行ッテソノ稲ノ朿ヲ負ヒ

南ニ死ニサウナ人アレバ
行ッテコハガラナクテモイヽトイヒ

北ニケンクヮヤソショウガアレバ
ツマラナイカラヤメロトイヒ

ヒドリノトキハナミダヲナガシ(日照りで不作のとき)
サムサノナツハオロオロアルキ(冷害の夏)

ミンナニデクノボートヨバレ
ホメラレモセズ
クニモサレズ

サウイフモノニ
ワタシハナリタイ

南無無辺行菩薩
南無上行菩薩
南無多宝如来
南無妙法蓮華経
南無釈迦牟尼仏
南無浄行菩薩
南無安立行菩薩

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宮澤賢治

http://www.aozora.gr.jp/cards/000081/files/45630_23908.html

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