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2017年3月 7日 (火)

まさに1930年代のような『ゼロ世代』の時代が来ているのだ

ーー以下「宮崎正弘ブログ」より抜粋編集

北京の外交を司る国務委員(閣僚級)の楊潔篪(よう けっち)がティラーソン国務長官らと会談するため訪米した。

楊は元外相、元駐米大使、国連総会で「尖閣諸島は日本が盗んだ」と公言した人物である。

ティラーソン国務長官に近づくことが北京の当面の目標なのだろうが、本命はスティーブ・バロンだと思われる。

ーー

北京は、南シナ海の七つの岩礁を埋立て、人工島とした。その中の三つの島に滑走路を建設し、合計20ヶ所に軍事施設、ミサイルを配備し、格納庫を造った。

これは世界戦Ⅱ後の世界秩序への挑戦だ。トランプの米国はこれを座視するつもりはないらしい。

北朝鮮の暴走を許してきた北京は、金正男暗殺に対し、ようやく国連の制裁決議に基づいて対北・石炭輸入禁止措置を講じた。

この措置を、米国は一顧だにせず、「支那は影響力を行使するべきだ」と北京への批判を緩めない。

ーー

上級顧問のスティーブ・バロンは、トランプがもっとも頼りにしている男であり、安全保障会議にも加わり、米国の国防、安全保障、軍事戦略の最終意思決定に関与している。

しかもバロンは、「五年から十年以内に、米国と支那は戦争になる」と公言してはばからない。

ビジネスインサイダー曰く、「バロンは暗い歴史の強迫観念に取り憑かれている」と。

ハフィントンポスト曰く、「バロンは黙示録予言を信じ切っており、戦争は不可避的であると考えている」と。

ネィション曰く、「バロンは世界戦Ⅲが不可避的であると信じている」と。

ーー

通商タカ派のピーター・ナヴァロ教授は「国家通商会議」の議長だが、安全保障会議には加わらない。マクマスター安全保障担当大統領補佐官の政治的力量は未知数である。

それゆえ北京が目を付けたのはこのバロンだった。

北京はバロンに狙いをつけ、彼の思想、考え方の分析に入った。

ーー

ワシントンポスト(2月24日号)によると、スティーブ・バロンに影響を与えたのは、ニエール・ハウとウィリアム・ストラウスの共著三冊であるという。

『世代(1584-2061アメリカの歴史と未来展望)』
『第四次転回点 威厳とのランデブーは次の歴史循環』
『千年の勃興1982年以降の世代こそ次の偉大な世代』

筆者はこれらの著書を読んでいないので直接その内容について論評することは出来ないが、ニエール・ハウは、次のような内容のコラムを書いている。

ーー

世界戦Ⅱの勝利の高揚からアメリカ人は偉大な社会を建設した。以来戦後の価値観は、ほぼ20年ごとに変化している。

大戦に勝利した1945年からすると現在は第4世代(2005年から)ということに成る。

もうそろそろ新しい価値観が求められるときだということだ。

ーー

米国史から転換点を探ると、
1794年は独立宣言から18年後だが、上院議会が成立した。
1865年リーカーンが再選され、南北に別れて戦った。
1945年はいうまでもなく世界戦Ⅱに勝利した。

つまり第4世代の時が転換点となっている。

第四次転換点はすでに2005年に開始されており、2008年にはリーマン破綻、以来アメリカ経済の規模は減退し続けている。

2008年以来の不況は、1930年代の世界恐慌と似ている。

アメリカは新しい生きかたを必要としているのだ。

ーー

人・物・カネの自由化によって、世界中の富をわが手にするような個人や企業が現れた。

先進諸国においては、その一方で、失業する人々、低賃金を余儀なくされる人々が出現し、不平等の拡大、消費の衰えという状況が生まれた。

先進諸国の国民は、失業や低賃金が自由主義による移民の流入によってもたらされたとし、また治安の悪化も、移民を受け入れた結果だと考えるようになった。

そして、移民の受け入れに反対するようになった。

人・物・カネの自由化による不平等の拡大と治安の悪化が、自由主義によってもたらされたと考える人が増え、自由主義が退潮しだした。

と同時に世界各国で、国民の団結と自国第一が主張されるようになったのだった。

ーー

ニエール・ハウ曰く(ワシントンポスト、2月24日)、「われわれは変動激しい時代に遭遇しており、歴史は加速し、自由主義者は退潮している」

「レーニンが『数十年間は何事もおこらなかったが、数週間で数十年にあたいする出来事が起こる』と書いたように、いまアメリカが遭遇しているのは、こういう変革の時期なのである」

「まさに1930年代のような『ゼロ世代』の時代が来ているのだ」と。

ーー

バロンが製作した『ゼロ世代』は、ニエール・ハウらが書いた未来を下敷きにしている。

トランプはこの時代の流れを掴(つか)んで出てきたのだ。

それは民衆への迎合と自国第一主義の拡大であり、いわば新たな国民国家創世の傾向は米国だけではなく世界的規模で起こりつつある。

現に西欧でも、またこの日本においても進行中だ。

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