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2017年2月11日 (土)

我々の先人たちは一生懸命やっておりました。だから今日の日本がある。

ーー以下「頂門の一針、MoMotarouコラム」より抜粋編集

松原久子著『驕れる白人と闘うための日本近代史』 

原著はドイツ語。

ーー(転載 始)

アヘン戦争を、江戸幕府ほど高い関心を持って注目していた政府が世界のどこにあったろう。アヘン戦争に至るまでの前史、敗北した後の支那(清国)の惨状を、江戸幕府ほど熱心に分析した政府も他にはなかった。

危機感は幕府内部にとどまらず、広く一般大衆の間にも広がって、侃々諤々(かんかんがくがく)の議論が行なわれた。アヘン戦争に至る経緯に関する本と、戦争が終わってからの支那清国の惨憺たる有様が書かれた本が出版され、多くの人に読まれた。

鎖国が始まって以来、政府のタカ派の人たちがいつも言っていた「白人は与(くみ)し難く、危険である」という警告が正しかったことを、初めて一般世論が認めたのだった。

ーー

白人は何かが欲しいとなれば、絶対譲歩しない。彼らは欲しいと思ったものが手に入らなければ、別の方法を考え出して目的を達成する。彼らに扉をほんの少しの隙間でも開けば、彼らはそれを無理やりこじ開ける。彼らをうまく説き伏せることができても、彼らは笑って、やりたかったことを強硬に実行する。

彼らに断固として立ち向かっても、彼らは恐ろしい武器の力を使って情け容赦なく反撃してくる。そんな白人からどのように身を守ることができるのだろうか。

ーー

アヘン戦争に関連した支那の出来事すべてを目の前にして、幕府は細心の注意を払わねばならないことを痛感させられた。西洋人は信用できなかった。

アヘン戦争が終わる1842年、幕府は全ての大名と各沿岸砲兵中隊の指揮官全員に、アメリカの船が江戸湾に入ってきた1837年の時のように挑発して砲撃をするようなことを絶対してはならない、そうなったらどんな事態に発展するか予測がつかない、という厳重な指示を与えた。

と同時に幕府は、兵器を早急に近代化し、沿岸と港の防備を徹底的に強化し、200年もの間放棄していた艦隊を建設するだけでも、さしあたり国の最低限の防衛になり得ると考えた。

ーー

そういう事情だったので、1853年にペリー司令長官が例の黒船、すなわち東インド艦隊を率いて現れる10年前にはすでに溶鉱炉は操業しており、鍛造工場や鋳物工場が建設され、大砲を製造することができる旋盤とフライス盤の開発が始められていた。

蒸気機関はオランダの設計図に基づいて造られ、固定した動力装置として次々に工場に設置されたり、動力源として船に取り付けられ始めていた。

残念なことに、日本が欧州の技術を早急に取り入れた動機は、白人の独創性を讃美したからではなかった。むしろ、欧米列強の隠れた意図に不安と不信感を抱いたからだった。そしてその不安と不信感が日本人をかくも性急にさせたのであった。

ーー

その不安と不信感がいかに正当であったか、再三江戸湾に姿を現す欧米の船団に対する幕府の極度な慎重さがいかに理に適っていたか、支那の悲劇が明らかにしてくれる。

「アヘン戦争後、清国は欧米列強に対して実に大幅な譲歩を行なったが、欧米列強はそれでも不服であった」これはブリタニカ百科事典からの一文である。それでイギリスは、1856年にごく些細な出来事を新たな戦争を始める言い掛かりにしたのだった。

ーー(転載終)

注、1856年10月8日に清の官憲はイギリス船籍を名乗る支那船アロー号に臨検を行い、清人船員12名を拘束し、そのうち3人を海賊の容疑で逮捕した(残りは抗議で釈放)。これに対し当時の広州領事ハリー・パークスは、清の両広総督・欽差大臣である葉名琛に対してイギリス(香港)船籍の船に対する清国官憲の臨検は不当であると主張し、また逮捕の時に清の官憲がイギリスの国旗を引き摺り下ろした事は、イギリスに対する侮辱だとして抗議した。葉名琛はこれに対して国旗は当時掲げられていなかったと主張したが、パークスは強硬に自説を主張し、交渉は決裂した。

ーー

従来の幕末の様子とは違って、我々の先人たちは一生懸命やっている。歴史を書き直すような著者の気迫を感じる。

だから今日の日本があるのだ。

幕府は、「国防政策」として「管理貿易」をしていた。それを明治維新を成し遂げた人たちが劣った制度の意味を込めて「鎖国」と呼んだ。

戦後も、江戸時代が遅れた時代の様に書かれるのは、それで得をする勢力が“戦後にも”いたからでしょう。

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